IT人材の海外就職が増加する韓国。背景にあるのはリストラ地獄?

IT人材の海外就職が増加する韓国。背景にあるのはリストラ地獄?

ここ最近、海外就職の話題に事欠かない韓国。

当サイトでも韓国の海外就職事情は度々取り上げてきたのですが、また新たなニュースが配信されていました。

記事によると、韓国では最近IT人材の海外就職が増えているとのこと。

若者の約8割が海外での就職を希望、IT人材の海外移民増える韓国 | IT pro(会員限定記事)

大手IT企業によるリストラの嵐がその要因となっているようなんです。

サムスンのリストラが与える影響

韓国のIT企業といえば財閥大手のサムスン(Samsung)

サムスン・グループでも昨今大規模なリストラが敢行されています。

韓国を代表するサムスングループの場合、金融監督院(政府機関)に届け出た企業現況をみると、2014年末から2015年末の間の1年間で主な系列会社の社員が7961人減った。サムスン電子だけで2484人の減少だ。
若者の約8割が海外での就職を希望、IT人材の海外移民増える韓国 | IT pro

韓国・サムスン電子が開発部門で大規模なリストラを敢行する。業績不振で管理職の30%が解雇されると報じられたが、さらに同社開発センターの職員の3分の2が解雇される見通しだという。
サムスンが大規模リストラを敢行、開発者の3分の2が失職か―韓国メディア | Record China

1年で8,000人弱とはかなりの数字ですよね。現場は地獄だったんでしょうね。

日本でも東芝の14,450人という大規模なリストラ計画が話題になりました。

東芝、人員削減1万4450人 計画を3割上回る | 日本経済新聞

人数では東芝の方が多いのですが、リストラが自国民に与える影響はサムソンの方が上回っていると言えるでしょう。

サムソン・グループの売上高が韓国GDPに占める割合はおよそ20%

売上高日本一のトヨタ自動車が日本のGDPに占める割合は約4%という点から見ても、サムソンが国の経済にどれだけ影響力があるかが分かります。

これだけ巨大で影響力のある企業であれば当然給与水準は高く、入社すれば安定が約束されるはず。

なので毎年10万人近くの学生が入社試験(SSAT=通称サムスン統一試験)を受けるのですが、入社できるのは一握りのエリートのみ。

韓国の受験戦争や就職競争の厳しさは日本以上と言われていますが、その競争をなんとか勝ち抜いたと思ったら、今度はリストラの可能性がある。

エリート層に入っても報われない現状では、国内就職に希望を持てと言われても無理な話なのかもしれません。

韓国の若者の8割が海外就職を検討

実際に、リストラの不安のある韓国から飛び出して、海外での就業を検討している若者が増えているようです。

いくつかの調査結果を見てみると、8〜9割の若者が「海外就職したい」と考えていることがわかります。

 調査結果によると、回答者のうち87.4%が「機会さえあれば海外で就労をしたい」と回答し、このうち36.5%はことし海外就職に向けて具体的に準備をしていると答えた。

韓国の就活生87%が海外での就職希望… | 中央日報

韓国の就職情報サイト「サラムイン」が会員1655人を対象にアンケート調査を行ったところ、78.6%もが海外で就職したいと答えた。
若者の約8割が海外での就職を希望、IT人材の海外移民増える韓国 | IT pro

もちろん、韓国の若者が海外を目指す理由はリストラへの不安だけでなく、長引く不況を背景とした若年層の失業率の高さも大きな要因であると言えるでしょう。

若年層の失業率は、2015年の調査で9.2%。過去最高の数字です。

海外で働いた方が報われる?

では、海外へ出れば報われるのでしょうか?

韓国では、どうやら海外の方が就労環境が良いと考えられているようなんです。

いつリストラされるか分からない不安な韓国企業に就職するより、長く勤められ安定した海外企業で就職しようとする若者が増えている。
若者の約8割が海外での就職を希望、IT人材の海外移民増える韓国 | IT pro

海外就労を希望する理由に関しては、福祉および勤務環境が整っているという回答が30.6%で最も高く、
韓国の就活生87%が海外での就職希望… | 中央日報

日本では、海外就職(現地採用)は待遇が低く福祉も充実していないため、国内での就職に比べ就労環境は悪いと考えられているのですが、韓国は違うのでしょうか?

サムソン・グループは海外現地法人に駐在員を派遣せず、社員のほとんどが現地採用者のようなので、日本の現地採用に比べ待遇が良いのかもしれません。

(参考)「駐在」「出向」「移籍」…どう違うの? 海外の勤務パターンと用語を整理してみた

(参考)海外現地採用は「悲惨」なのか?

それでも全ての韓国企業の現地採用の待遇が良いとは考えにくいので、やはり韓国国内の就労環境がかなり悪いんじゃないかと思われます。

なので、相対的に海外で働いた方がマシというだけで、海外で働いたからといって報われるわけではなさそうです。

ただ、IT関連人材に関しては、最近中国企業が高給でスカウトしているようです。

韓国メディアによると、半導体、ディスプレイ、オンラインゲームなど複数の分野で、中国企業が韓国人を大量にスカウトしている。韓国企業の5~9倍の給料を提示して、引き抜いているのだとか。
若者の約8割が海外での就職を希望、IT人材の海外移民増える韓国 | IT pro

5〜9倍の給与は確かにかなり魅力的なので、海外就職を検討する人が増えるのも当然でしょう。

それでも、長期的に待遇や雇用が保障されているとは限らないですよね。

政府も海外就職を後押し

このような、国民の多くが海外就職を検討している状況に対し、韓国政府はどのような態度をとっているのでしょうか。

過去のエントリーでも紹介しましたが、韓国では政府が海外就職支援を行っているんです。

K-Move」という海外就職支援プロジェクトでは、海外就職成功者に最大300万ウォン(約30万円)の奨励金を支給しています(2014年の時点)。

韓国政府による青年海外就職支援策。その名は「K-Move」

詳細はこちらのエントリーを見ていただければと思いますが、韓国政府は国内の雇用状況改善のさじを投げちゃったんでしょうかね?

さいごに

韓国のとある世論調査では、国民の半数以上が「韓国が嫌い」と答えているとのこと。

20~30代を対象にした10月下旬の世論調査によると、「韓国が嫌いか」との問いに51%がイエスと回答。理由は「公平さに欠ける」「貧富の差が著しい」「競争が激しい」などだ。将来の経済や福祉についても、評価は否定的意見が大半。「自分の子供は海外に脱出させたい」との回答も73%に上った。
「韓国は地獄だ」絶望する若者急増 苛酷な競争社会…「母国嫌い」が5割 | zakzak

昨年は「ヘル(地獄)チョソン(朝鮮)」なんて言葉が流行語になったようです。報われない韓国の現状を「地獄」とする自虐表現です。

リストラ地獄どころではなく、国全体が地獄と化していたんですね。

日本も対岸の火事、もとい対岸の地獄とは言い切れない状況でしょうから、引き続き動向をウォッチしていく必要がありそうです。

それでは!

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