「現地採用は楽しいけど不安も多い。スキルアップにも不向きです」T・Hさん

海外就職その後のキャリアvol02

海外就職のその後を知るためのインタビュー。二回目の今回は、前回と同様に中国上海での就業経験を持つ、T・Hさんのインタビューです。

前回のエントリーから二ヶ月も空いてしまいましたね。。。

それではどうぞ。

【海外就職・その後のキャリア】第2回 T・Hさん  上海、現地採用

T・Hさん(男性)T・Hさん
1981年生まれ
住んでいた国・地域…上海
雇用形態…日系企業/現地採用

  • 20033月 デザイン専門学校卒業
  • 20034月〜200512月【日本】広告会社/グラフィックデザイナー
  • 20064月〜20098月【上海】日系セールスプロモーション会社/ディレクター
  • 20099月〜20108月【上海】語学留学
  • 20109月〜 日本へ帰国、転職

本当は台湾で働きたかった

日本でデザイン系の専門学校卒業後、グラフィックデザイナーとして広告会社に就職しました。

深夜残業が当たり前の職場だったこともあり、激務に限界を感じて3年弱で退社し、その後しばらくは休養期間と決めのんびり過ごしていました。

ぼくはもともと台湾のPop musicがすごく好きで、台湾へはよく旅行をしていました。休養期間にも台湾に3週間ほど旅行をしたのですが、改めて台湾の魅力に惹かれてしまい「次は台湾で働くのもアリなんじゃないか?」と思うようになりました。

ところが、帰国後に海外求人サイトを調べてみたものの台湾での求人はなかなか見つからず、代わりに目に留まったのが上海での日本人デザイナー求人

台湾就職のチャンスをうかがいながら、まずは上海で働くのもアリかなと考え応募しました。

上海には行ったことがなかったのですが、台湾と同じ中華文化圏だし自分にはフィットするだろうと考えていました。実際は台湾と上海って文化も人の感じも全然違うんですけどね(笑)

街の下見を兼ねて上海へ行き面接をしたところ、その日に即内定をもらいました。

 日系企業なら誰でも管理職になれる

就職したのは日系SP(セールスプロモーション)会社。制作部のデザイナーポジションの現地採用です。

30人ほどの会社で日本人は4-5名ほど。制作部は4名でぼく以外は皆中国人でした。ぼくは中国語は挨拶程度しか話せなかったのですが、日本語スタッフがいたためコミュニケーションに大きな問題はありませんでした。

日本でかなりの量の業務ををこなしていたので制作自体にも難しさは感じませんでした。

何より、ちゃんとアフター5がある生活は、ぼくにとっては奇跡体験でしたね(笑)

その後半年くらいでディレクターに昇格し、スタッフの管理などマネージメントもするようになりました。

日系企業であれば、そりゃ日本人に管理職を任せたいですよね。なので昇格したのはぼくの能力が高かったわけじゃないと思っています。部内唯一の日本人でしたし。

普通に仕事をこなす能力があれば、アジアの日系企業なら誰でもすぐに管理職になれるチャンスはあると思います。

ちなみに、今なら中国の現地採用は狙い目なんじゃ無いでしょうか。2012年の反日デモ以降、中国で働きたい日本人は減ってますよね? おそらくぼくがいた頃より給料は高いでしょうし、 高いポジションにもつきやすいと思いますよ。

※リサーチしてみると、実際に最低給与の相場は2,000元(約32,000円)位上がっているようです

現地採用で長く働くのは不安

管理職に就いたら当然給料も上がったのですが、それでも日本と比べればやっぱり低かったですね。日本の会社では当たり前の福利厚生もなかったです。

国民年金は任意加入して払っていたのですが、先を考えるとやはり不安でした。

同じ海外で働くにしても、駐在員になればその辺の不安は無くなるんでしょうが、デザイナーで駐在員ポジションになるのは難しいことも分かりました。

そんな感じで徐々に海外で長く働くのは難しいかなと考えるようになりました。

3年で退社し語学留学

現地採用の現実が分かってくると、台湾で働きたいという思いも薄れていきました。台湾でも現地採用であれば待遇や働き方って同じでしょうからね。

30歳が迫っていたこともあり、日本への帰国を決めました。

 とはいえ何か形を残したいという気持ちがあったので、退社後1年間語学学校に通うことにしました。

上海の大学付属の語学コースで、日本人大学生や駐在員の奥様達と一緒に中国語を学び、授業の無い時間はフリーランスでデザインの仕事などをしながら1年間生活しました。おかげで中国語は日常会話には困らないレベルにまで達したと思います。

帰国後、デザイン会社に転職

帰国後の転職の準備は、在学中の一時帰国のタイミングを利用して進めました。日本の人材会社への登録や面談です。

帰国前に何社か面接し、不動産系がメインの広告会社への転職が決まりました。最初はデザイナーポジションでスタートし、1年位でアートディレクターになりました。

中国での経験は特に活かせなかったですね。社長が中国の不動産事情に関心があり、面接で話が盛り上がった点では役に立ったとは思いますが、単純にデザイナーとしてのスキルがマッチしたんだと思います。中国語も使いませんし。

スキルアップしたいなら海外はやめたほうがいい

日本で転職は成功しましたが、上海にいる間にデザイナーとしてのスキルは正直上がったとは思えません。日本での貯金を切り崩していた感じです。

一概には言えませんが、技術職を続けるのであればアジア就職はあんまりお勧めできません。

デザイナーのレベルは日本の方が全然高いので、周囲の人から勉強できることが圧倒的に多いですからね。品質も高いものが求められるので必然的に技術が上がります。

もちろんどこに住んでいようが自分で勉強すればいいだけの話ではあるんですが、人間って弱いから環境に流されちゃうんですよね。緩いところにいると緩くなっちゃう。ぼくだけかもしれませんが(笑)

「人生」全体で考えればいい面もある

生活自体は刺激的で充実していましたし、いろいろ見つめ直すいい機会だったと感じています。

スキル面でのプラスは少なかったですが、あのまま日本で疲弊し続けるよりは良かったと思っています。何より楽しかったです。

それから、仕事とは関係ないですが、「中華文化」の理解が進んだことと中国語を習得できたことは財産ですね。ぼくの場合は「台湾カルチャー」という趣味に直結してますし、台湾旅行もより楽しめるようになりました。一瞬ですが台湾人の彼女ができた時期もありましたし(笑)

なので、仕事だけじゃなくて「人生」全体で考えれば、海外就職にはメリットも十分あると思います。

まとめ

いかがでしたか?

ぼくもデザイナーだったので共感できる点が多いインタビューでした。

今回の ポイントをまとめると…

キャリアのポイント

海外就職のきっかけ…日本の職場環境で疲弊し、好きだった台湾で働こうと思った
帰国理由…現地採用の待遇に疑問や不安を感じた
海外経験の活かし方…仕事では活かせていないが、趣味や人生を充実させている。専門性の高いスキルがあれば帰国後の転職は難しくない

待遇への不満や疑問」は現地採用の誰もが感じるところ。今回のT・Hさんのように帰国理由になるケースは少なくありません。

海外で働き始めた12年は、刺激的な環境の楽しさを強く感じられるので、待遇や将来の不安はあまり気にならないことが多いでしょう。

ところが海外生活が「日常」になってくると、不安が大きくなってくる人が多いんですよね。

そうなったら早めに見切りをつけ、帰国して転職するというのも選択としてアリだと思います。

T・Hさんは場所にとらわれないデザインという専門性の高いスキルを維持できたため、「海外での経験」を意識しなくても容易に転職できました。

ただ、そういったスキルがない場合は「海外だからこそ得られた経験」が必要となってくるでしょう。

もちろんデザインのような専門性の高いスキルであっても、時間が経てば陳腐化します。T・Hさんの言うように、アジアではスキルの向上が難しいという面も確かにあるでしょう。

そういう意味では、T・Hさんの「3年での帰国」はギリギリのタイミングだったのかもしれません。

それでは!

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