韓国政府による青年海外就職支援策。その名は「K-Move」

韓国政府の海外就職支援策K-Move

前回のエントリーで紹介した韓国政府による「海外就職支援」ですが、恥ずかしながらこの記事を書くまでは、ぼくはこの制度のことを知りませんでした。

日本の海外就職の「これから」を考える上でも、参考になるのではないかと思いますので、今回はこの「海外就職支援」について少し掘り下げてみたいと思います。

政府が主導する「K-Move」

韓国といえばK-popブームが記憶に新しいですが、「K-Move」って言葉、みなさんご存知でしたか?

なんだか韓国映画の総称っぽいこの「K-Move」は、韓国政府が主導する青年の海外就職支援プログラム。ちなみにこのプログラムでは「青年」の定義は1939歳とされているようです。

それでは、その詳細を見ていきましょう。

K-Moveの概要

「K-Move」は韓国雇用労働部と韓国産業人力公団が主管のプログラム。「教育」「就職斡旋」「事後管理」の全段階を支援し、「世界を舞台に活躍する人材の育成」を目的としています。

雇用部(「部」は日本で言うところの「省」)、産業部、教育部、外交部などが協力することで、より効率的な支援体制を創っていくことも狙いのひとつ。

韓国政府のK-Move政策 | Kotra

2014年のK-Move関連予算は約233億ウォン(日本円で約23億円)に上ったとのこと。

主な取組み内容

プログラムの主な内容は、以下の4つ

❶K-Moveセンター

海外で留学生就職フェア、求人需要の発掘、就職後の支援等を行うための施設を運営。2015年の時点で世界8カ国に設置されています。

K-Moveセンター設置都市
東京、シリコンバレー、ジャカルタ、北京、ホーチミン、ドバイ、ハンブルグ、ブラジル(都市不明)

❷K-Moveスクール

海外就職のためのスクールを運営し「語学」や「職務能力」などを教えています。

❸K-Moveメンター

海外での経験やノウハウを持つ、様々な分野の専門家によるメンタリングを実施。

2014年でメンターは100名、青年800名のマッチングを成功させたとのこと。

❹海外インターン事業推進

インターン後の現地採用を目標とし、韓国貿易協会は世界16カ国に若者(34歳以下)を派遣(2014年)。派遣国は、日本、アメリカ、中国、コロンビア、トルコ等。

韓国人材採用(K-move) | Kotra

奨励金を支給

K-Moveのプログラムを利用して海外就職に成功すると、「海外就職成功奨励金」として、34歳以下の若者に対し最大300万ウォン(日本円で約30万)が支給されます(2014年)。

ただし、世帯所得による制限や、1年以上の雇用契約を結び6ヵ月以上働いた証明が必要など、いくつかの条件もあるようです。

背景は若者の超就職難

こうした支援制度の実施の背景にあるのが、韓国の若者の深刻な就職難

2015年の調査によると、韓国の若年層の失業率9.2%。年間40万人の大学卒業者に対し、大企業が採用できる人数は11万人程度というのが現状のようです。

つまり、若者の雇用の受け皿を経済成長する海外に求めるべく、政府が支援に力を入れ出したということです。

成果はいまいち。政府は改善を目指す

ところが現状では、政府の思惑とは裏腹に、支援制度の成果はあまり芳しくないようです。

2014年に海外就職プログラムに申込んだ青年およそ3,800人のうち、就職に成功したのは約1,400人。成功者は半数にも満たないという結果でした。

韓国政府の青年海外就職・実習支援プログラム「成果上がらず」―韓国メディア | Record China

そういった状況を受け、さらには海外就業者を2017年までに年間10,000人に増やす(現在は5,000人水準)方針ということもあり、政府は支援制度の改善を進めています。

改善策は以下のようなものです。

海外就職サイト「ワールドジョブプラス(www.worldjob.or.kr)」の改編
モバイルアプリの活用、現地生活情報の追加等。

奨励金額の調整
新興国への就業者の奨励金を、原稿の300万ウォンから400万ウォンへ増額。一方で先進国の場合200万ウォンへ減額。

より現実に沿った斡旋支援
外資系企業の多いシンガポールや香港などへの就職は、職歴が必要など難易度が高いため、海外のエージェントと協力。ベトナム、インドネシアなどの新興国では、現地韓国系企業の中間管理職に斡旋する等。

新興国での需要の増加や、国別の就職状況の違いなどは、日本人の海外就職と類似点が多いことが分かります。

日本では沖縄県が海外就職を支援

このような政府主導の海外就職支援は、日本人にとって珍しく映るかもしれません。

韓国国内での雇用創出をあきらめた政府による棄民政策だ、なんて意見もネット上ではちらほら見かけたりもします。

ところが、日本も笑っていられないんですよね。

県主導の海外就職支援であれば日本にも存在するんです。

沖縄県では、2012年から若者の海外就職を支援する「海外ジョブチャレンジ事業」に取り組んでいます。

(過去エントリー)沖縄発、新しい海外就職支援の形。「海外ジョブチャレンジ事業」って知ってます?

沖縄が海外就職支援に取り組む目的は「グローバル人材の育成」とされてはいますが、韓国の場合と同様に、雇用状況の悪さがその背景にあると考えられます。

さいごに

 いかがでしたか?

多くの日本人からすると、韓国のK-Moveは「お隣の国の変わったプログラム」にしかすぎないかもしれません。

ただ沖縄のような動きも始まっている以上、日本には全く関係ない課題では無いんですよね。

日本政府主導の海外就職支援プログラムが実施される未来も、あり得るかもしれません。

それでは!

 

photo credit: Summer_KPOP_Festival_33 via photopin (license)

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