アップル社が寿司職人を募集中。海外就職のために寿司職人になるのってアリなの?

海外で寿司職人

米Apple社が、寿司職人を募集していることがTwitter等で話題になっています。

概要を抜粋して日本語訳すると…


<寿司職人>
勤務地:米国 カリフォルニア州 サンタ・クララ・バレー
勤務時間:週40時間
■業務概要
この寿司職人は、日本料理屋での経験が必須です。日本料理の材料や調理ガイドライン、調理法への理解が求められます。

Apple、本気で寿司職人を募集中! 必須条件を見ると… | BuzzFeed

アップルで「すし職人」として働く…そんな人生も魅力的 | GIZMODE

Sushi Lead Cook | Jobs at Apple

よし、じゃあ寿司職人になるか!なんて考えちゃった人、いませんか?

Appleは難しいにしても、「海外で働くために寿司職人になる」という考え方は、ぼくはアリだと思います。

実際にそうやって海外就職や移住を叶えている人も少なくありません。

ただ一方で懸念点が結構あるのも事実です。

そこで今回は、海外就職のために寿司職人になるのがアリだと思う理由と、考えられる懸念点をお伝えしようと思います。

寿司職人がアリな3つの理由

寿司職人がアリな理由

海外の和食ブームは拡大している

農林水産省の調査によると、平成277月の時点で海外の日本食レストラン数は89,000件。2年前の前回調査の約1.6倍。最も多い地域がアジアで約45,300店(1.7倍)。次いで北米の25,100店(1.5倍)。

2013年末には「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されたこともあり、和食ブームはますます拡大傾向にあります。

海外における日本食レストランの数 | 農林水産省(PDF)

にもかかわらず、日本人が関わっている店舗は1-5%にすぎないという話もあり、多くの日本食レストランでは「なんちゃって寿司」が提供されているのが現状です。

和食ブームの拡大が続けば、本物の寿司を食べたいというニーズも高まっていくでしょうから、ちゃんとした技術を持つ日本人寿司職人の需要は増していくと考えられます。

日本人であることが圧倒的な強みになる

寿司職人が海外で就職先を探す場合、「日本人であること」は圧倒的な強みになります。

もちろん、寿司職人でなくても、日本人が海外で働く場合は「日本人であること」が強みになる場合がほとんどですが、それでも寿司職人以上にその強みを活かせる職業は無いでしょう。

「寿司」はこの上なく日本的な料理なので、日本人が作るというだけで大きな付加価値がつくからです。

短期間で技術を習得できる

とはいえ、「寿司職人ってそんな簡単になれるもんじゃないでしょ」と思う人もいるはず。

「飯炊き3年、握り8年」なんて言われるように、10年に及ぶ修行が必要というのが一般的な考えですよね。

ところが最近は、短期間で寿司職人になれるプログラムを提供するスクールが増えています。

「東京すしアカデミー」では、最短8週間で寿司職人デビューが可能。

寿司職人養成学校 東京すしアカデミー

学費は約86万円(江戸前寿司ディプロマコース)〜と決して安くはありませんが、海外就職のサポート体制等も充実しているようです。

ちなみに2002年の創設以来、約500人の卒業生が海外で働いていて、受講者の8割以上は海外就職を目指しているとのこと。

他にも「飲食人大学」が、3ヵ月で寿司職人になること目指す「寿司マイスター専科」というプログラムを提供しています。

これらスクールに通うことで、短期間で寿司職人になれるわけです。

 

このように、短期間で技術が習得でき、②日本人という強みを活かせ、③拡大する市場で働けるのであれば、海外就職や移住を考える人にとっては、一考の価値のある魅力的な方法であることは間違いないでしょう。

海外で寿司職人として働く際の、5つの懸念点

寿司職人の懸念点

すごくアリなかんじの「寿司職人の海外就職」ですが、それでもやはり、懸念点がいくつか考えられます。こちらも併せて考える必要があると思います。

短期間で習得できる技術は危険

従来は長い年月の修行が必要だった寿司職人ですが、スクールに通うことで従来よりも簡単に技術を習得できるようになりました。

ただ、簡単であればあるほど、同じ技術を身に付けた人が今後も増え続けるでしょうから、希少性はどんどん失われていきます。

寿司職人が増え続ければ、どこかの段階で飽和状態になり淘汰が始まると考えられます。

既にアメリカでは、飽和状態だからなのか、寿司職人の就労ビザの取得がかなり難しくなっているという声も聞こえてきます。

頑張れ中年すし職人 海外移住の夢はまだ終わらない | 代々木上原 鮨武のブログ

「寿司職人はアメリカの就労ビザがとりやすい」という認識を持つ人も多いと思いますが(ぼくもそうでした)、実際には一昔前までの話なのかもしれません。   

現地の職人のレベルが上がっていく

アメリカ以外の国でも、早い段階で淘汰が始まるかもしれません。

先ほど紹介した「すしアカデミー」では、2010年から本格的に外国人受講者の受け入れを始め、すでに100人以上の卒業生が巣立っているようです。また、201510月には築地に外国人向けの新校舎を開校しています。

東京すしアカデミー、2015年10月 築地で新校舎を開校 ~寿司と和食を学びに来日する外国人シェフ急増に対応~ | Sankei Biz

今後はASEANを中心に海外進出も進めていくようで、シンガポールにはすでに開校済です。

 こうした流れから、本場日本の技術を習得した現地の寿司職人が増えてくれば、日本人寿司職人と競合し、日本人の活躍の場は減っていくことも予想できます。

 全ての寿司屋が日本人を求めている訳ではない

それでもやはり「日本人」という付加価値があれば高い需要がある、と考えたいところですが、そればかりではないようです。

例えば、ベトナムで最も有名な寿司屋「Sushi Bar」。

ハノイ、ホーチミン、ダナンなど主要都市に展開し、連日ベトナム人客で賑わっています。日本人的にもぜんぜんOKな寿司を提供しており、我が家でもよく利用しました。

この店のオーナーは日本人ですが、握っているのは日本人職人ではなく、調理やオペレーションはベトナム人のみで行われてるようです。それでも、日本人も満足できるレベルの寿司を提供できており、繁盛しています。

海外の寿司屋ならどこでも日本人職人が必要、というわけではないんですよね。

もちろん、このSushiBarのような中間層をターゲットとした大衆店ではなく、富裕層をターゲットにした高級店であれば、日本人職人の需要はまだまだ見込めるでしょう。

給与はそれほど高くない

海外で寿司職人になれば月給50万、高級店の料理長なら年収1,000万、なんて話を巷で聞くこともあります。

海外ですし握って1000万円 職人復権、変わる常識 | 日本経済新聞

ところが、寿司職人向けの海外求人情報を掲載している「SUSHI JOB」を見る限り、実際はそれほど高給をとれるわけでは無さそうです。

和食で世界で活躍したい人のための求人サイト SUSHI JOB

ヘッドシェフで25〜40万円、寿司職人だと25万円前後が相場でしょうか。一般的な現地採用の相場よりはやや高めではありますが、それほど高給では無いことが分かります。

もちろん、本人のスキル次第で待遇アップはのぞめるでしょうが、これは寿司職人に限った話じゃありませんよね。

トレンドは常に変化している

そもそも寿司ブームがこの先ずっと続くかどうかもわかりません。

最近では寿司以外の日本食の人気が高まっていて、アジアや欧米では、日本のラーメンブームが起きているという話をよく耳にします。

海外のラーメン店は、20132月時点の時点で1,000店舗以上あることが分かっています。

世界のラーメン店舗数(新横浜ラーメン博物館調べ)

日本でも有名な「博多一風堂」は、海外13ヵ国に店舗を構えています。

博多一風堂

行列ができる店舗も多いようで、ぼくが以前香港で食べたときも、現地香港人や外国人で結構賑わっていましたね。

ラーメン人気は日本の有名チェーン店に限った話ではなく、ホーチミン現地発の「大阪ラーメン」は、ここ1-2年の間に連日ベトナム人で賑わう繁盛店に成長しています。

もしかしたら今後は、ラーメン職人の方が需要があるのかもしれません。

さいごに

いかがでしたか?

懸念点は多いんですが、寿司職人を目指すな!といっているわけではありません。

 寿司をつくる技術は、海外就職を実現させるための実践的な技術であることは間違いないでしょう。

ただ、寿司職人になることは、最近メディアで煽り気味に語られている「海外移住の夢を叶える特別な方法」のようなものでは無いと思うんですよね。

あくまで「技術者の海外就職の一例」として捉える方が現実的ではないかという話です。

 それでは! 

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